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マックスマーラといえば、あのキャメル色のコート。101801です。
公式サイトで、いちばん有名な[マダム]という型の素材表示を見てみました。70万7,300円のコートです。
表地:ウール90%、カシミヤ10%。
キャメルは、入っていません。
「キャメル」は色の名前であって、素材の名前ではなかった。——これ、知らないまま「キャメルのコートだから」と手入れを調べている方が、けっこういらっしゃると思います。
この記事では、公式の素材表示を並べながら、自分の一着が何でできているのかを確かめる方法を書きます。あわせて、修理には期限があるという、知らないと困る話も。
マックスマーラとはどんなブランド?
1951年、イタリアのレッジョ・エミリアで生まれました。公式サイトは2026年に創業75周年を迎えたと発表しています。
創業者はアキーレ・マラモッティ。ここからは、VOGUE JAPANのブランド解説にある話です。
- 曾祖母は街でテーラーを営み、母は裁縫学校を創立した家に生まれた
- ただし本人は、40代まで弁護士として働いていた
- 服づくりが手仕事で行われていた時代に、プレタポルテ(既製服)の考え方をビジネスに持ち込み、製造の工程として組み立てた
- ブランド名の「マーラ」は、自身の姓の一部から
40代まで弁護士だった人が、既製服の仕組みを作った。ブランドの成り立ちとしては、かなり変わっています。
デザイナーの名前を、出さないブランドです
ここがマックスマーラのいちばん特徴的なところかもしれません。
VOGUE JAPANの解説によれば、これまでカール・ラガーフェルド、アンヌ=マリー・ベレッタ、フランコ・モスキーノ、ジャン=シャルル・ド・カステルバジャックといった名前が、マックスマーラの服を手がけてきました。
それでも、ブランドはデザイナーの名前を前に出してきませんでした。主役はあくまでブランドである、という考え方です。
「誰がデザインしたか」より「マックスマーラであること」。この姿勢が、40年以上ほとんど形の変わらない定番を生んだのだと思います。
自社アーカイブを持っています
公式サイトによると、本拠地のレッジョ・エミリアに BAI(Biblioteca e Archivio d’Impresa) というアーカイブがあります。衣服、アクセサリー、テキスタイル、スケッチ、写真、資料を所蔵する場所です。
創業75周年を記念した展覧会「THE MAX!」は、このアーカイブを「Living Archive(生きたアーカイブ)」として構成したものだと説明されています。
過去を倉庫にしまわず、現役の資料として使っている。定番が定番のまま続く理由が、ここにもありそうです。
アイコンは2つあります
公式サイトには、アイコンを紹介する専用のページがあります。
101801 アイコンコート(1981年)
1981年、アンヌ=マリー・ベレッタの手によって生まれた101801コート。瞬く間にアイコンとして君臨したこのコートは、時代を超え、国境を越え、今や世界中の女性たちのワードローブに欠かせない「永遠の定番」となっています。
マックスマーラ公式サイト「101801 アイコンコート」より
1981年です。40年以上、ほぼ同じ形で作り続けられています。
テディベア アイコンコート(2013年)
2013年秋冬ミラノコレクションのランウェイに初めて登場して以来、その愛らしいファブリックとコクーンシルエットは、シーンを問わず着用できるワードローブの一つとして、様々なシーンを彩ってきました。
マックスマーラ公式サイト「テディベア アイコンコート」より
こちらは比較的新しく、2013年の登場です。
この2着に、ベルトで締めて着る「マニュエラ」を加えた3着の素材と手入れの違いは、こちらの記事で比べています。
▶ マックスマーラの3大コートを比べる|101801・マニュエラ・テディベアの違い
ブランド基礎データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業 | 1951年(2026年に創業75周年) |
| 創業地 | イタリア・レッジョ・エミリア |
| 創業者 | アキーレ・マラモッティ |
| アイコン | 101801(1981年)、テディベアコート(2013年) |
| 主な素材 | ウール、カシミヤ、キャメル、アルパカ、シルク |
| 生産 | アイコンのコートはイタリア製 |
| 家庭での洗濯 | コートは✕。公式は「クリーニング:専門業者にて」 |
| 修理 | 公式にあり。ただし原則「購入後3年以内」(後述) |
| お手入れ難易度 | ★★★★☆ 素材の見極めがすべて |
【クリーニング師が解説】「キャメル色」はキャメルではありません
公式サイトの商品ページから、4着の素材表示をそのまま書き写しました。
| 商品 | 価格 | 表地 |
|---|---|---|
| 101801 [マダム](キャメル色) | ¥707,300 | ウール90%、カシミヤ10% |
| テディベア [テディ](キャメル色) | ¥654,500 | キャメル88%、シルク12% |
| テディベア [テッドガール] | ¥647,900 | アルパカ62%、ウール26%、シルク12% |
| テディベア [テディ](ダークグレー) | ¥647,900 | 毛44%、アルパカ44%、絹12% |
2つ、はっきりしました。
① 101801の「キャメル」は、色の名前です
いちばん有名なあのコートは、ウールとカシミヤです。キャメル(ラクダの毛)は入っていません。
わかってるよ。と言われそうですが、これが案外わかっていない人もいるそうです。
誤解のないように書きますが、これは悪いことではありません。ウール90%・カシミヤ10%は、コートの生地として上等です。ただ、「キャメルだから」と思って手入れを調べると、見当違いの情報にたどり着きます。
ちなみに公式には、[レディ] ピュア キャメル ローブ コート(873,400円)のように、本当にキャメルのコートもあります。名前に「ピュア キャメル」と書いてあるものが、それです。
② 同じ「テディベアコート」で、素材が3種類ありました
さらに驚いたのがこちらです。
- キャメル88%+シルク12%
- アルパカ62%+ウール26%+シルク12%
- 毛44%+アルパカ44%+絹12%
同じ名前、ほぼ同じ値段、見た目もほぼ同じ。中身が違います。
「テディベアコートの洗い方」で調べても、自分の一着に当たるとは限りません。
キャメルとアルパカでは、毛の性質が違います。どちらも繊細ですが、アルパカのほうが毛足が長く、絡みやすい。扱いを変える場面があります。
タグを見てください。型の名前(テディ/テッドガールなど)と素材が、必ず書いてあります。
公式のお手入れ表示は、一貫していました
素材はこれだけ違うのに、お手入れの記載は4着とも同じでした。
「クリーニング:専門業者にて」
家庭で洗う選択肢は、はじめから示されていません。60万〜70万円のコートです。ここは素直に従うのが正解だと思います。
ハンガーとコートカバーは、買わなくて大丈夫です
公式の商品説明に、こう書かれています。
「オリジナルのハンガーとコートカバー付き」
付いてきます。捨てないでください。
コートは肩で吊るすものなので、肩に厚みのある専用ハンガーは大事です。それが最初から付いてくるのだから、わざわざ買い足す必要はありません。
テディベアコートは「起毛」として扱ってください
パイル(毛足のある生地)は、押しつぶされると毛が寝ます。ここだけ、扱いが普通のコートと違います。
- クローゼットにぎゅうぎゅうに詰めない。両隣を空ける
- 座るときは背中を潰さない。長時間の着席では脱いだほうが無難
- 毛が寝たら、乾いた状態で、毛並みに沿ってやさしくブラシをかける
- 毛玉取り器は使わないでください。毛足そのものを刈ってしまいます
- 雨に濡れたら、振って水を落とし、風通しのよい日陰で吊るして乾かす
毛玉取り器は、あくまで平らに織られたウールのコートやニットのためのものです。
でも「マックスマーラ」は、ひとつではありません
ここからは、日本の店頭で混乱しやすい話です。
国内の正規取扱店で「マックスマーラ」を見ると、複数のラベルが並んでいます。
- Max Mara(本体のコレクション)
- ‘S Max Mara(エス マックスマーラ)
- Weekend Max Mara(ウィークエンド マックスマーラ)
- Max Mara Studio(マックスマーラ ストゥーディオ)
- Max Mara The Cube(マックスマーラ ザ キューブ)
VOGUE JAPANの解説によれば、グループ全体では19のコレクションを展開しているとのことです。
ラベルごとに、並んでいる服はかなり違います。公式サイトの各コレクションのページから、いま並んでいる代表的な商品を拾いました。素材とお手入れの表示は、商品ページの記載のままです(2026年9月時点)。
Max Mara(本体のコレクション)
上で見た101801とテディベアコートがここです。ウール、カシミヤ、キャメルのコートが中心で、お手入れの表示は「専門業者にて」でした。
‘S Max Mara(エス マックスマーラ)
ニットと、ふだん着のパンツやスカートが多く並びます。
- [マントヴァ] ウール カシミヤ ハイネック ニット……毛80%・カシミヤ20%/手洗い可、または専門業者にて
- [サビーネ] ピュア カシミヤ ニット……カシミヤ100%/専門業者にて
- [アマーティ] レザールック ジャージー パンツ……合成皮革/手洗い可、または専門業者にて
同じニットでも、カシミヤ100%のほうは「専門業者にて」だけでした。混率が変わると、表示も変わります。
もうひとつ。名前に「レザールック」「エコレザー」と付くものは、素材表示を見ると合成皮革でした。本革ではないので、革用のクリームやオイルは使わないでください。
ちなみに合成皮革は寿命があります。生地ができてから3年くらいでべたつきや剥離が起こってくると言われています。いわゆる加水分解です。これはどうしようもありません。寿命はどのお洋服にもありますが、これは時限爆弾のようなもので、いつ起こるかは誰にもわかりません。
Weekend Max Mara(ウィークエンド マックスマーラ)
コート、ダウン、ニットから、バッグや靴まで幅の広いラベルです。
- [トローピコ] ウール アルパカ コート……毛51%・アルパカ21%・モヘヤ14%・ナイロン14%/専門業者にて
- [ジョーキ] テクニカル ファブリック ダウン ジレ……表地ポリエステル、中わたダウン80%・フェザー20%/手洗い可、または専門業者にて
- [リオ] カーフ スエード トート バッグ……表地:牛革(イタリア製)
それぞれの洗濯表示を見て、判断してください。着用中は、お手入れをする。しまう時は、クリーニングに出すくらいでいいと思います。
Max Mara Studio(マックスマーラ ストゥーディオ)
シルクのシャツやブラウス、ウールのジャケットやコートが並びます。
- [ウデンテ] ピュア シルク ツイル シャツ……絹100%/専門業者にて
- [Bコラージュ] ピュア ヴァージンウール コート……表地:毛100%、裏地:レーヨン100%(イタリア製)
シルクは、水じみや汗じみが輪になって残りやすい素材です。ここは表示どおり、お店に任せてください。
Max Mara The Cube(マックスマーラ ザ キューブ)
公式によれば、アウターウェアとアクセサリーを融合させたコレクションとして、2008年に生まれました。キルティングのジャケットやジレが中心です。
- [シャールム] リバーシブル テクニカル キャンバス キルティング ジャケット……表・裏ポリエステル、中わた:ポリエステル48%・キャメル48%・絹4%/専門業者にて
- [トレファ] テクニカル キャンバス ダウン ジレ……表・裏ナイロン、中わたダウン90%・フェザー10%/家庭用洗濯機可、または専門業者にて
101801のキャメル色にはキャメルが入っていませんでした。ところがザ キューブには、見えない中わたにキャメルが入っているものがありました。中わたがダウンなら「洗濯機可」、キャメル混なら「専門業者にて」。見た目では分かりません。
シャールムの説明文には・・・
THE CUBE”コレクションのサステナブルライン、CAMELUXEリバーシブルジャケット。
MAX MARAのアイコンコート、MANUELAやRIALTOに使用される最高繊維のキャメルをアップサイクルした新素材を中綿として使用したCAMELUXEは、キャメルの毛織物がリサイクルされるだけでなく、元の素材よりも価値の高い商品を生み出すサステナブルなものづくりを実現したMAX MARAオリジナルのテクノロジーによるもの。特殊な技術により加工された細い繊維はシベリアダウンに匹敵する暖かさを兼ね備え、最大の特徴として驚くような軽さと心地良さを体感いただけます。
とあります。新しいものづくりに挑戦し続けるブランドですね。

そして同じ店に並んでいても、ラベルが違えば表示は違います。手元の一着は、必ず内側のタグで確かめてください。
ただし、革が付いた一着には気をつけてください
ザ キューブのダウンSEIAの素材表示を見てください。
洗濯表示は「洗濯機可」。でも素材に「革部分:牛革」と書いてあります。
革が付いた衣類を、家庭の洗濯機で洗ってはいけません。革は水に浸かると硬くなり、縮み、色が出ることがあります。乾いたあとに元へは戻りません。
洗濯表示は「生地本体」についての指示であることがあります。部分的に別素材が付いているときは、そちらが優先です。
タグの組成表示に「◯◯部分:」という但し書きがあったら、そこを最優先で見てください。
修理は「購入後3年以内」です
これは、知らないと本当に困る話です。公式のよくある質問に、こう書かれています。
マックスマーラ ジャパンでは、お客様に商品をご愛用いただけるよう修理を承っております。(中略)※2025年1月1日以降の修理のご依頼は、一部のマックスマーラコレクションのコートを除き、ご購入後3年以内の商品に限らせていただくことといたしました。ご購入から3年を経過した商品につきましては、修理のご依頼を受け付け出来ませんので、予めご了承ください。
マックスマーラ公式サイト「よくあるご質問」より
「そのうち直そう」が、効きません。
袖口がすり切れてきた、裏地がほつれた、丈を詰めたい——気になった時点で相談してください。3年を過ぎると、公式では受けてもらえなくなります。
なお公式によれば、受けてもらえる内容は袖丈や裾のお直し、ウエスト調整などの基本的なお直しのみで、サイズやデザインを変えるリフォームは対象外です。
窓口は購入店舗、またはマックスマーラ ジャパン カスタマーサービスです。
3年を過ぎてしまった場合や、対象外の直しについては、洋服のお直し専門店を探すことになります。コートのお直しは技術差が出るので、ウール・カシミヤのコートの実績があるお店に相談してください。
お手入れに使う道具
ハンガーとコートカバーは紹介しません。公式のコートには最初から付いてきます。
まとめ
- マックスマーラは1951年、イタリア・レッジョ・エミリアで創業。2026年で75周年
- 創業者アキーレ・マラモッティは、40代まで弁護士。手仕事だった服づくりに既製服の仕組みを持ち込みました
- デザイナーの名前を出さないブランドです。ラガーフェルドらが手がけていました
- 101801は1981年、アンヌ=マリー・ベレッタ作。テディベアコートは2013年
- 101801の「キャメル」は色の名前。素材はウール90%・カシミヤ10%です
- 本物のキャメルが欲しいなら、「ピュア キャメル」と書かれたものを
- 同じテディベアコートで、素材が3種類ありました(キャメル/アルパカ/ウール+アルパカ)
- 公式のお手入れ表示は4着とも「クリーニング:専門業者にて」
- ハンガーとコートカバーは付いてきます。買い足し不要
- テディは起毛として扱う。詰めない、潰さない、毛玉取り器を使わない
- 日本ではMax Mara/’S/Weekend/Studio/The Cubeが並び、洗濯表示も違います
- 「洗濯機可」でも「革部分:牛革」とあったら洗わないこと
- 修理は原則「購入後3年以内」。気づいた時点で相談を
マックスマーラを見る
国内の正規取扱いで見る
国内正規取扱いの新品です。在庫と価格はよく変わるので、購入前に各ページの表記をご確認ください。
ELLE SHOP|マックスマーラ
雑誌『エル』のファッション通販です。‘S Max Mara、Weekend Max Mara、Max Mara Studio、Max Mara The Cube といったラベルが並びます。
この店を挙げる理由は、商品ページに「お手入れについて」の欄があって、素材・原産国・洗濯表示が買う前に読めるからです。ラベルごとに洗濯表示が違うブランドなので、買う前に確認できるかどうかは大きいと思います。
リンク先はELLE SHOPのトップページです。サイト内の検索で「マックスマーラ」と入れると、ラベルごとの一覧が出てきます。
ウールとカシミヤの扱いは、こちらでも詳しく書いています。
→ ジョン スメドレーってどんなブランド?メリノウールとシーアイランドコットンのお手入れも解説
→ バーバリーってどんなブランド?ギャバジンとトレンチコートのお手入れも解説

ソワ|国家資格を持つ現役のクリーニング師です。クリーニング歴は30年以上になります。
業界に長くいても、知らないブランドはまだまだあります。ブランドを一つずつ勉強しながら、その成り立ちと、そこから導かれるお手入れの方法を書いています。服が「何のために作られたのか」が分かると、扱い方の答えは、たいていそこにあります。
店の名前は出していません。特定のお店に来ていただくためのブログではないからです。ご自身で手入れをされるにせよ、お近くの信頼できるお店に相談されるにせよ、その判断の材料になれば十分だと思っています。


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