ヴィヴィアン・ウエストウッドのラインの違い|レッドレーベル・アングロマニアの歴史とコンセプト

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「レッドレーベルって、ヴィヴィアンとは違うブランドなの?」「アングロマニアって最近見かけないけど、なくなったの?」

ヴィヴィアン・ウエストウッドは、ラインの数が多く、しかも本国と日本で状況が違うという、少しややこしいブランドです。統合されたもの、名前が変わったもの、日本にしかないもの。手持ちの一着のタグに何と書いてあるかで、そのブランドの歴史のどのあたりに立っているのかが変わります。

この記事では、それぞれのラインがいつ、何のために生まれ、いまどうなっているのかを整理します。最後に、クリーニング師の立場から「ラインが分かると何が分かるのか」も書きました。

そもそも、なぜラインが分かれたのか

ヴィヴィアン・ウエストウッドは1971年、ロンドンのキングスロード430番地にあった1軒の店から始まりました。パンクの服を作っていた時代は、ラインという考え方そのものがありません。作ったものを、その店で売る。それだけでした。

変わったのは1990年代です。1981年に初のランウェイショーを行い、コレクションブランドとして世界で売られるようになると、「パリで発表する作品」と「多くの人が実際に買う服」を同じ棚に並べておけなくなりました。価格帯も、作り方も、届けたい相手も違うからです。

そこで1993年、レディース部門が2つに分かれます。これが、いまも名前が残っているゴールドレーベルレッドレーベルの始まりです。以降、メンズ、カジュアル、復刻と、役割ごとにラインが増えていきました。

ラインの一覧と、いまの状態

ライン誕生位置づけいまどうなっているか
Worlds End(ワールズエンド)1980年創業の店の名前であり、初期コレクションの流れをくむライン続いている
Gold Label(ゴールドレーベル)1993年最上位。パリコレクションで発表される「作品」に近いライン2016-17年秋冬から「Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood」に改称
MAN(マン)1996年(ミラノ)メンズのプレタポルテ本国では2016年にメインラインへ統合/日本では継続
Anglomania(アングロマニア)1998年過去のコレクションを今の服として作り直すカジュアルライン。デニムやカットソーが主力日本では2019-20年秋冬にレッドレーベルへ統合
Red Label(レッドレーベル)1999年(日本での展開は2002年から)幅広い層に向けたプレタポルテ。日本でいちばん見かけるライン本国では2016年に終了しメインラインへ/日本ではライセンスとして継続中
Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood2016年ゴールドレーベルの後継。現在の最上位現行
RED+MAN(レッド アンド マン)2025年日本限定の新ライン現行

それぞれのラインの中身

Worlds End ── すべての出発点

キングスロード430番地の店は、1971年の「Let it Rock」から名前を変え続け、1980年に「Worlds End」になりました。この名前だけは、店名でありながらラインとしても生き残っています。

ここが扱うのは、パンク期やパイレーツ期といった初期の型です。新作を追いかけるラインではなく、ブランドの原点を保存し続ける役割を担っている、と考えると分かりやすいと思います。

Gold Label と Red Label ── 「作品」と「服」

1993年の分割は、はっきりした線引きでした。

ゴールドレーベルはパリコレクションで発表される最上位。デザイン性が高く、そのぶん着る場面を選びます。対してレッドレーベルは、価格帯を下げ、日常で着られる形に落とし込んだライン。日本のショップで見かけるヴィヴィアンの多くはこちらです。

この2つは2016-17年秋冬に整理されます。アンドレアス・クロンターラー本人が「分かりづらくなり、混乱を招きかねなくなってきた」と語ったとおり、ライン名が増えすぎていました。ゴールドレーベルは「Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood」へ改称。本国のレッドレーベルとMANは、メインラインの「Vivienne Westwood」に吸収されました。

Anglomania ── 過去作を、今の服にする

「Anglomania(アングロマニア)」は、もともと1993年秋冬のコレクション名です。あのMacAndreasタータンが発表された、あのコレクションのことです。

1998年、その名前がそのままカジュアルラインの名前になりました。過去の代表作を今の素材と価格で作り直すという考え方のラインで、デニムやカットソーが主力でした。復刻を独立したラインとして持っているブランドは多くありません。自分の過去を資産として扱う、いかにもこのブランドらしい仕組みだと思います。

日本では2019-20年秋冬にレッドレーベルへ統合されました。「量より質」というブランドの理念を反映させるため、という説明がされています。デニムやカットソーといった主力商品は、新しいレッドレーベルの中で作られ続けています。

日本だけが、少し違う

ここが、ネットの情報が食い違いやすい部分です。

本国が整理したあとも、日本にはレッドレーベルが残っています。

日本での歴史をたどると、1992年にヴィヴィアン・ウエストウッド社が伊藤忠商事と契約して事業が始まり、1994年にライセンス契約へ拡大。2002年にレッドレーベル、2005年にMANが日本で展開を始めました。本国が2016年にラインを統合したあとも、日本ではライセンスとしてレッドレーベルが続いており、2019年にはアングロマニアもそこへ合流しています。

さらに2025年には、日本限定の新ライン「RED+MAN」が登場しました。宇宙服から着想を得たという、男女問わず着られるアイテムを軸にしたラインです。

一方で、2024年末に日本国内のアクセサリーのローカルライセンスは終了し、グローバルのコレクションに一本化されました。オーブのネックレスやリングをすでにお持ちの方の多くは、この日本ライセンス期のものを持っていることになります。

日本がこれだけ特別な扱いになっているのは、市場としての大きさが理由です。1990年代、ヨーロッパの外でこのブランドに最初に応えたのが日本でした。

【クリーニング師のメモ】ラインが分かると、何が分かるのか

ここからは、実物を扱う立場からの話です。

ブランドラインは、その一着がどういう考えで作られたかの手がかりになります。パリで発表される最上位のラインと、日常着として企画されたラインでは、使われる素材も縫製も同じではありません。本国から輸入されたものと、日本で企画・生産されたものとでも違います。

だから、見た目がよく似た2着のタータンのジャケットでも、片方はウール100%、もう片方はポリエステル混、ということが普通に起こります。

ブランドラインで洗い方を決めるのではなく、品質表示で必ず洗い方を決めることです。

「レッドレーベルだからこう洗える」という判断はできません。同じラインの中にも、ウールもコットンもポリエステルもあります。

ライン名は、タグを読む前の準備運動くらいに考えてください。

▶ ちょっとしたお手入れは、こちらの記事にまとめています →「ヴィヴィアン・ウエストウッドってどんなブランド?タータンとシルバーのお手入れも解説

まとめ

  • ラインが分かれたのは1990年代。「パリで発表する作品」と「日常で着る服」を分ける必要が出たため
  • ゴールドレーベルは2016-17年秋冬に「Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood」へ改称。本国のレッドレーベルとMANはメインラインに統合された
  • 日本は例外。レッドレーベルはライセンスとして継続し、2019年にアングロマニアが合流。2025年には日本限定の「RED+MAN」も登場
  • アングロマニアの名は、MacAndreasタータンが生まれた1993年秋冬コレクションが由来
  • ライン名は素材の見当をつける手がかりにはなるが、洗い方を決めるのは品質表示のタグだけ

ラインの多さは、このブランドが40年以上のあいだ立ち止まらなかった証拠でもあります。手元の一着のタグを見れば、その歴史のどのあたりに自分が立っているのかが分かります。
私の大好きなヴィヴィアンウエストウッドのラインの成り立ちを知ることで、時代を感じることができました。みなさんも、タグを見て、そうだこの時代青春だったな!とか思い出してください!

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